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ある苦行の一週間
○月曜日―発端
その日、たまたまY田さんに会う。
そのとき何を思ったのか、伊藤はこんなことを口にしてしまった。
「怪しい電(以下略)のブツを作ってるっす(頭の中で)」
するとY田さんは
「じゃあ、十月の頭までに作ってきてよ」
と無理をおっしゃる。
そういった訳で苦行の日々が始まった。
○火曜日―検討
今回のお題はいろいろと考えた結果、当初検討していたものとは
まったく違う『100面電子さいころ』に決定した。
こう書くとなかなか立派な(?)ような気がするが、
要は『7セグメントLED×2に適当な数字を光らせる』だけである。
それだけでは、余りにもむなしいものがあるので、
ワンチップマイコンのPIC16F84(以下F84)を使うことにした。
ここで検討すべき要項を箇条書きで
かき出してみた。
13ピンしか出力のないF84で、7セグメントLED×2をどう制御するのか。
乱数をいかに作るか。
まったく手付かずの実験レポートをいつやるか。
あ〜でもない、こ〜でもないと考えている
と、夜も白んできたので寝た。
○水曜日―開店休業
この日、懸案となっていた実験レポートを終わらせる。ほぼ徹夜。
○木曜日―製作@―プログラム作成
7セグメントLEDの制御は二つの桁を交互に表示して、
残像によって二つの桁が同時に表示しているようにした。
こうすると、必要な出力ピン数は7(LED用)+2(制御用) = 9
で済む。
世の中ではこの技術をダイナミックドライブと言うらしく、
結構ポピュラーな技術だそうだが、残念なことに伊藤はこのテクニック
をまったく知らず、かなり苦労した。
乱数の方は適当にそれらしく見えるものにすることで落ち着いた。
F84はマイコンである以上、そういったことをさせるには
すべてプログラムで表現がしなければならないので、目をこすりながら
プログラムを打ち込んだ。
打ち終わる頃には、朝になっていた。
○金曜日―制作A―バグ
とりあえずテスト回路を作って、簡単な動作テストをしてみる。
が、ウンともスンともいわない。
気になって昨日打ち込んだプログラムを見てみると、
「根本的な理論記述が違ってるじゃん」
仕方がないので、一からプログラムを打ち込み直す。
○土曜日―制作B―週末の終末
ようやく完成したプログラム。テスト回路の動作もバッチリ。
が、何か物足りない。そう、『ピッ』とか『ブー』といった音がないのだ。
そこで、そういった動作もさせるため、プログラムの変更を考えた。
が、『ピッ』とか『ブー』の音がいかなる周波数成分で出来ているのか
わからなかったため、断念。
少々空しさが残ったが完成したことにした。
○日曜日―結論
口は災いの元 !!!!
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